[58] FUJICA G690 シリーズ

[58] FUJICA G690 シリーズ

営業写真館はスピグラ、リンホフ全盛の時代に、観光写真や記念写真を撮影しているカメラマンから、機動性のあるカメラを・・との相談を受けたのが開発のきっかけとのこと。 開発に当たっては、35㎜カメラの機動性をそのまま、ブローニーサイズにできないかとの考え方で、1966年から開発がすすめられた。 開発の段階では、機動性を高めるためのフイルム巻上と同時にシャッターセット連動式とし、レンズ交換式で、60×90㎜サイズと60×45㎜サイズの切替兼用サイズで試作された。

製品化の段階では、60×90サイズ専用となったが、後に60×70㎜サイズ、さらには60×80㎜サイズが発売された。 また、当初は、シャッター内蔵のレンズ交換式であったが、途中からは、レンズ非交換式となり、ワイドレンズタイプも発売された。

 

FUJICA G690 試作品

1966年に最初に試作された機種である。

 

FUJICA G690 第2次試作品

第一次試作品に改良がくわえられ、レンズ鏡胴をブラック仕様から、アルミ合金シルバー製に変更した。

 

FUJICA G690

1968年3月に開催された東京カメラショーにはじめて登場し、1968年10月に発売された。なお、交換レンズ群としては、100ミリの標準レンズのほかに、65㎜広角レンズと180㎜望遠レンズが準備された。

 

FUJICA G690BL

FUJICA G690には、レンズ交換のための遮光幕が組み込まれていて、ボディ底面にあるクランクをまわして、遮光幕を引きだすと、ファインダー内に警告マークがあらわれ、同時にシャッターロックされる安全機構がセットされていたが、現場では、うっかり、遮光幕を引きださないでレンズ交換をしてしまうミスが起き、レンズマウント部にロック機構を組み込むとともにさらに改良をし、完成度を高め、1969年10月に発売された。

このFUJICA G690 BLの登場で、翌年大阪で開催された万国博覧会(EXPO70)の観光写真の集合写真の撮影で威力を発揮し、このカメラを普及させる大きなきっかけとなった。

 

FUJICA GL690

高評をはくしたFUJICA G690 BLの全国のユーザーのところを訪問し、実態調査をして、課題を抽出し、縦位置撮影用にフロントシャッターボタンを付け、約20%の軽量化、ピントリングにゴムを巻いたマイナーチェンジをして、1974年1月に発売された。

また、開発段階から、備えていた、シートフイルム1枚撮り機構は省略し、ブローニーフイルムの6×6㎝判で6枚撮りというショートフイルム(6×9㎝判だと4枚撮り)を発売し、撮影したらできるだけ早く現像したいとの営業写真化の要望に応えた。

併せて、露出計内蔵モデルも研究されたが、製品化はされず、絞り優先AEレンズ(100㎜f3.5)を同時発売した。

なお、交換レンズ群もさらに充実させ、50㎜、65㎜、100㎜、150㎜、180㎜をそろえた。

 

FUJICA GM670

FUJICA GL 690を基本にして、60×70㎜判を1974年1月に発売され、シリーズ化の一歩を踏み出した。

 

FUJICA G690 SE

当時、35㎜コンパクトカメラ フラッシュフジカデートが好評だったことと、営業写真に日付は必要との考え方で試作されたが、製品化までには至らなかった。

 

FUJICA GW690

従来のFUJICA G690シリーズとはことなり、大きな画面サイズと機動性をさらに追求し、35㎜サイズカメラにひけをとらない速写性を設計理念に開発し、1978年11月に発売された。

レンズは非交換式カメラとし、レンズも~―撮影用に新設計されたEBC FUJINONを搭載し、カメラのホールディングを確実にするためにパームグリップ化し、ボディ底面にシャッター使用回数を装備した。

 

FUJICA GSW690

FUJICA GW690を基本とし、広角65㎜レンズを装着し、1980年3月に発売された。

 

FUJI GW690Ⅱ

FUJICA GW 690と、ボディ外観のデザインはそれほど変わりはないが、レンズフードを伸縮式に変更し、ホットシュー、レリーズロック装置を付けるほか、グリップ部をさらにホールディング性を高め、1985年6月に発売された。

 

 FUJI GW690Ⅱ GOLD

FUJI GW690Ⅱのゴールド仕様の機種ではあるが、どのような目的で発売されたのか、富士フイルム担当者に確認しても要領を掴めなかった。

 

FUJI GSW690Ⅱ

FUJI GW690を基本にし、広角65㎜レンズを装着し、1985年6月に発売された。

 

FUJI GW670Ⅱ

FUJI GW690を基本にし、60×70㎜判として、1985年12月に発売された。

 

FUJIFILM GW690Ⅲ

FUJI GW690Ⅱのレンズ、シャッターなどの性能は全く変わらないが、ホールディング性に優れたオーガニックホルムを採用し、ボデイ外観のデザインも一新し、ノングレア塗装にして、1992年2月に発売された。

 

FUJIFILM GSW690Ⅲ

FUJIFILM GW 690Ⅲを基本にして、広角65㎜レンズを装着し、1992年2月に発売された。

 

FUJIFILM GW680Ⅲ

FUJIFILM GW 690Ⅲを基本にして、60×80㎜判として、1992年3月に発売された。

 

FUJIFILM GSW680Ⅲ

FUJIFILM GW680Ⅲを基本にして、広角65㎜レンズを装着し、1992年11月に発売された。

 

FUJIFILM GW670Ⅲ

FUJIFILM GW 690Ⅲを基本にして、60×70㎜判として、海外市場向けに、1992年3月に発売された。