[Ⅰ] FUJICASIXⅠ型(3)

 

 

4 FUJICASIX IB FUJICASIX IBS

FUJICASIX IA 発売から4カ月後の1948年8月に、FUJICASIX IB が、6200円で発売された。

当初は、FUJICASIX IAのレンズが、FUJI f4.5 75㎜からFUJIf3.5 75㎜に変わっただけであったが、その後は、輸出向けを意識し、焦点距離調節表示を「m」表示だけではなく、「ft」表示も発売された。さらに、レンズ呼称が変更になったRECTAR f3.5 75㎜ ft表示 も発売された。価格は6200円。

シンクロ接点付も、ほぼ同時期に、FUJICASIX IBS として発売されたが、価格は、10500円とのことであり、FUJICASIX IBの6200円からするとかなりの高額となったといえる。このFUJICASIX IBSは、FUJICASIXⅠ型の主力機といっても過言ではないが、激しく改良された機種でもある。

その概略を纏めてみると、シンクロ接点を不可するためには、LOTASシャッターでは心もとなかったのか、NKSシャッターに切り替えてきている。

レンズは、FUJI f3.5を採用しているが、前記したように、写場用大型カメラ向けとして開発してレンズの呼称をRECTARとしたことにもより、従来のFUJI f3.5レンズを改良し、RECTAR f3.5を搭載したFUJICASIXⅠBS を1950年に発売した。

したがって、FUJI f3.5レンズでは、2Pシンクロ接点方式で、焦点距離調節表示が「m」表示と「ft」表示の2機種が発売された。また、過渡期的なのか、2P接点と独式接点の両方があるものと、独式接点がある。また、2Pシンクロ接点(ft表示)で、アクセサリーシュ―がついた機種もある。

改良されたRECTAR f3.5レンズに変わってからは、2Pシンクロ接点方式では、FUJI f3.5同様、焦点距離調節が「m」表示と「ft」表示の2機種がある。また、1Pシンクロ接点(ft表示)のついた機種もある。

このように、FUJICASIX IBS は、手元に入手した機種をみただけでこれだけの種類があり、まだまだ不明な機種があるのかもしれない。

なお、このFUJICASIX IBS は、日本の歴史的カメラ※としても認定されている。

日本の歴史的カメラとは、「技術史的に意義のある日本最初の試みがなされているもの」もしくは「市場において特に人気を博するなど、歴史的にみて意義のある」とみなしうる国産カメラを、中立的な立場にある専門家や学識経験者から構成される「歴史的カメラ審査委員会」によって、一年間に発売された新商品すべてを対象として審査・選定している。