[8] FUJIPET(2)
FUJIPET 初期型
当時のカメラは「写真機」と呼ぶ人が多く、高級な精密機械で金持ちの趣味として幅を聞かせていた。機材やフイルムを買うお金だけではなく、カメラをつかうための露出設定などの撮影技術、さらには、フイルムの現像、印画紙への引伸ばしなどの写真技術が必要であった。したがって、素人にはおいそれと手が出せる代物ではなかったし、それだけに、カメラへのあこがれは強く誰もが自分で写真を撮ってみたいと思っていた時代である。そのような時代にできたのが、FUJIPET である。フイルムメーカーが作った子供向けのおもちゃと思われていたが、なかなか意欲的で、今ならさしずめ次世代をにらんだ戦略的商品ということであろうか。
子供向けとはいえ、ブローニーの6×6㎝のサイズの正方形フォーマットは、撮影時に画面構成で縦横を考えなくても良いし、シャッターチャージからシャッターを切るまでの動きをスムーズに進めることができるので、撮影する者にとっては扱いやすい。そして、6×6㎝のサイズは現像の後の密着プリントのみでも、そこそこ見れるプリントが出来るという面でも経済性であると言うことかもしれない。このようなスペックをもったカメラが出来たことは大変なことであったし、その評価は、後々から出てくるFUJIPETシリーズもふくめて100万台の販売実績は当時にしては記録的な数字である。
まさか、これだけの実績となるとは予想もしなかったということだと思うが、富士フイルムは、途中で量産できる体制にするために、設計変更をしている。もちろん市場に対してオープンにしたわけではないが、コレクションしたFUJIPETを比較してみるとその実態が分かってきた。ということで、あえて、FUJIPET 初期型とFIJIPET量産型として分類し纏めていく。(前期型、後期型として分類する方もいるようだが、ここでは、初期型、量産型と称するのがピッタリだと思うが・・)
FUJIPET 初期型は、ブルーがかったブラックが特徴のボディカラーで登場したが、これを富士フイルムでは、フジペットブラックと称した。その後、女の子向けにということで、レッドを発売している。