幻の橋 タウシュベツ川橋梁
先日、来年の撮影ツアーのご案内のため、現地撮影スポットのチェックに行ってきました。 その撮影ツアーのメインスポットの一つが「タウシュベツ川橋梁」です。
毎年、この「タウシュベツ川橋梁」は、今年は大丈夫なのか・・と、関係者をドキドキさせる話題の橋です。 ですから、現地チェックをしたものの、来年の撮影ツアーで、お目にかかれるのか、気になるところではありますが・・・。
この「タウシュベツ川橋梁」は、1936年から1938年に、林産資源や農作物の輸送のために旧国鉄 士幌線として、つくられた線路とともにつくられた橋です。従いまして、貨物用貨車が大半で、客車は1両だけ接続されて、蒸気機関車がけん引していたとのことで、今日の撮り鉄ファンであれば、ぜひとも撮りたかったのではないかと思います。
旧国鉄 士幌線は、森林資源の枯渇と地域の人口の減少に加えて、車社会の到来もあり、廃止されてしまいました。 「タウシュベツ川橋梁」のほかにもあるアーチ橋の数々は、鉄路としての役割を終えた事もあり、解体の危機を迎えましたが、地域住民らによる保存運動も広がり、これらの線路跡を上士幌町が取得し、2001年には、北海道遺産にも選定されました。 そして、JR北海道のポスターに載るととともに、観光スポットとしての人気が急上昇したのも事実です。
旧国鉄 士幌線は、北海道では最も高いところを走る山岳鉄道ということと、音更川の渓谷に沿ってつくることもあり、工事費を抑えるために、「タウシュベツ川橋梁」を含め、数々のアーチ橋は、現地で取れる砂と砂利をつかって作ることに決まったとのことです。
鉄路としての役割を終えた「タウシュベツ川橋梁」ですが、電源開発による糠平ダムの完成とともに、水没する運命となり、糠平湖の水位が増す6月から10月ごろは湖底に沈み、翌年1月には、再び姿を現す幻の橋となりました。 建設されてから、80年近くになるこの橋は、砂と砂利とセメントでできたこともあり、夏には、水がしみこみ、うちつける川の流れによって、コンクリートが破壊され、、冬には、内部にしみこんだ水が氷ったり溶けたりして、外部と内部からの損傷が起こっています。 ということで、いつ崩壊してもおかしくないとの専門家の意見もあるとのことです。
修復して保存を・・との意見もあったとのことですが、数千万円の費用を何年も継続して負担することは難しいし、電気を発電していることでもあり、糠平湖の水位の上下は避けられないとのことで、「自然に朽ち落ちる姿を見守りたい」と、町関係者は言っています。
さてさて、来年は、無事、お目にかかれますことを祈るのみです。