夕張 三弦橋
昨年春、夕張シューパロダム竣工に伴い、水没した「三弦橋」が、試験湛水による貯水位低下に伴い、再び現れるとのことで、お天気の状態を見ながら、車で約3時間かけて、5月21日に行った。
その後、5月28日が最定水位に達するとのことで、天気予報とにらめっこしながら、ちょっと早いけれど、5月25日に再チャレンジした。
橋げたまで見えることを期待はしたが、まだ、その位置までは水位低下は見られなかったが、最低水位の5月28日時点で、あと3m低下程度とのことで、ここまでみれれば「ヨシ」とすることにした。
しかしながら、5月25日は、日曜日であったためか、ダム管理棟駐車場には、止まり切れないほどの車が押し寄せ、札幌ナンバーの車に交じって、帯広、旭川ナンバーはまだしも、仙台、横浜、新潟と、道外からも見に来ているのには驚いた。
また、ちゃっかり、たこ焼き&どら焼きの屋台を備えたトラックまで来ているのにはビックリであった。
「三弦橋」、正式名称は、下夕張森林鉄道夕張岳線第一号橋梁である。
夕張岳山麓の広大な山林からの伐採された木の輸送のために、主夕張森林鉄(1934年)、下夕張森林鉄道(1945年)、そして、下夕張森林鉄道夕張岳線(1946年)が開通した。
この鉄道は、木材輸送だけではなく、営林事業に支障のない限り、麓の開拓農家の収穫物の輸送、夕張岳登山者の便乗も認められた。
その後、大夕張ダム建設(1962年完成)で一部水没する夕張岳線の補償工事の一環として、第一号橋梁から第6号橋梁までを1958年に北海道開発局が架設した。
特に、第一号橋梁は、シューパロ湖の湖尻を横断することもあり、最大規模の橋となった。
その後、林道が整備され、木材輸送もトラック輸送に変わり、1963年に夕張岳線も含め夕張森林鉄道は廃止となり、この三弦橋の供用も、僅か6年間で途絶えてしまった。
そして、大夕張ダムの下流に夕張シューパロダム建設が決まり、2014年4月にその完成とともに、この三弦橋は、シューパロ湖の中に沈んだ。
今回、その試験湛水により、貯水位が低下し、三弦橋全体が見れるようになった。
三弦橋は三弦トラス構造と呼ばれ、上弦材が1本、下弦材が2本、断面が三角形で四角錘を連ねた特異な構造で、鉄道橋としては、ドイツのデュー川に架かった鉄道橋があるが、記念碑的に保存されているとのこと。
また、鉄道橋以外では、三弦トラス構造の橋は、おもに水管橋に多用されているが、道路橋としては三ツ石橋(高知県大川村)、人道橋としては逆三弦であるが、あやとり橋(石川県加賀市)が存在するとのこと。